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乳がん術後のリハビリ 二子玉川で筋力回復を実現した実例

入院生活が奪った日常動作

当たり前が当たり前でなくなる恐怖

40代のT様が当院を訪れたのは、乳がんの手術と長期入院を経て退院した直後のことでした。主治医からは「運動制限はない」と告げられ、体力をつけるよう勧められていたものの、何から始めればいいのか分からず途方に暮れていたといいます。

床から立ち上がるのにテーブルやソファーに手をつかないと立てない。靴を履くときは壁に手をついて支えないとバランスが取れない。以前は何も考えずにできていた動作が、すべて困難になっていました。

「前は普通に屈伸ができたのに、今は膝を曲げるだけで太ももと腰が突っ張って痛いんです」とT様は訴えました。正座も3秒が限界。あぐらもかけない。趣味だった旅行も、歩き回ることを想像するだけで不安になり、行く気になれないといいます。

数値が示す深刻な筋力低下

初回のカウンセリングで筋力測定を行ったところ、予想以上に深刻な状態が明らかになりました。一般的に日常生活を送るために必要とされる筋力の指標は、体重1kgあたり0.3という数値です。

しかしT様の場合、膝の筋力・お尻の筋力ともに0.1前後で本来必要な筋力の3分の1以下、場合によっては10分の1以下まで低下していたのです。

この数値は、約3ヶ月にわたる治療期間の影響を如実に物語っていました。2月から5月まで、通算2ヶ月の入院生活。そのうち1週間は絶対安静で、トイレに行くのも看護師さんの介助が必要な状態。体重も51kgから46kgまで減少し、全身の筋肉が激減していました。

複雑な治療経過が生んだ不安

想定外の副作用との闘い

T様の治療は、当初の予定とは大きく異なる経過をたどりました。乳がん自体はステージ2で、決して末期ではありません。しかし抗がん剤治療の副作用が想定以上に強く出てしまったのです。

まず2月に高熱が続き1週間入院。退院後わずか数日で、今度は血小板減少症を発症し、2週間の入院となりました。この時は5日間の絶対安静で、ベッドから動くことすら禁止。輸血とステロイド治療で何とか回復しましたが、体力は大きく削られていきました。

3月末、ようやく手術のために入院したものの、今度は薬疹が出て手術は延期に。退院前の血液検査では肝機能障害が見つかり、グレード4と診断されました。再びステロイド治療が始まり、4月末まで入院が続きます。

ゴールデンウィークに一時帰宅を許されましたが、連休明けにようやく乳がんの手術を受けることができました。手術自体は標準的な10日間で退院できたものの、それまでの約3ヶ月で体はすっかり衰えていたのです。

何をどこまでやっていいか分からない

「がん研究会有明病院主治医の先生からは、運動制限は何もないと言われています。バドミントンでもスカッシュでもマラソンでも、何でもしていいと」

しかしT様には、それが逆にプレッシャーでした。運動経験がほとんどなく、何から始めればいいのか見当もつきません。YouTubeで調べてみても、自分の状態に合っているのか判断できない。間違った運動をして、また体調を崩すのではないかという恐怖がありました。

「体調が今まで健康だと思っていたのに、健康じゃないってことになって、どこまでやっていいかが本当に分からないんです」

検査では炎症反応も出ておらず、ステロイドの追加も必要ないと言われています。つまり体の中の状態は悪くない。それなのに動けない。この矛盾が、T様をさらに不安にさせていました。

初回で実感した体の変化

徹底的な動作分析から始める

当院では、まず現状を正確に把握することから始めます。T様には、腕の動き、歩き方、しゃがむ動作、片足立ちなど、さまざまな動作をチェックしていただきました。

腕の動きは比較的良好で、手術した右側も前から上げるバンザイの動作はほぼ問題なくできています。毎日自宅で病院から教わった体操を続けていた成果が出ていました。ただし横から開く動作や、後ろに手を回す動作では、まだ硬さが残っています。

問題は下半身でした。歩くこと自体は30分の散歩を毎日続けており、痛みもありません。しかししゃがむ動作では、膝がある程度までしか曲がらず、途中で止まってしまいます。片足立ちは可能ですが、体が左右に揺れて不安定です。

仰向けで膝を曲げる動作をチェックすると、膝関節そのものにも硬さがありましたが、特に問題だったのは太ももの裏の柔軟性でした。この硬さが、しゃがむときの突っ張り感の原因になっていたのです。

柔軟性改善で即座に変化

筋力測定の後、まず柔軟性を改善するストレッチと関節の動きを引き出す施術を行いました。乳がん手術後に硬くなりやすい胸の筋肉、肩甲骨周り、背骨、股関節、膝関節を重点的にアプローチしていきます。

仰向けで両手を組んでバンザイする運動。上半身を横向きにして丸める・反らす運動。お尻を持ち上げる運動。股関節をひねる運動。一つひとつの動作を丁寧に指導しながら、T様自身に体の変化を感じていただきました。

そして再度、あぐらの姿勢を試していただくと、「あ、床につきました!」と驚きの声が上がりました。最初は全く床につかなかった膝が、運動後にはしっかりと床に近づいていたのです。

正座も試していただくと、「全然違います!」とT様。さらにしゃがむ動作では、最初は途中で止まっていたのが、床まで完全にしゃがめるようになりました。「すごい!下までしゃがめます!」

正しい体の使い方を学ぶ

柔軟性が改善しても、それだけでは不十分です。正しい体の使い方を学ばなければ、また同じ問題が起こってしまいます。

特に重要なのがスクワットの動作です。多くの人は膝を前に出すようにしゃがんでしまいますが、これでは膝に負担がかかり、太ももの前ばかりを使ってしまいます。

正しいスクワットは、お尻を後ろに引きながら股関節を曲げていく動作です。上半身は少し前傾しますが、背骨はまっすぐのまま。足の裏全体、特にかかとで床を押すイメージを持つことで、太ももの前だけでなく、お尻の筋肉もしっかり使えるようになります。

「最初は指先で押していた感じがあります」とT様。しかし何度か練習するうちに、かかとで床を押す感覚をつかめるようになりました。この感覚が、立ち座りや階段の上り下りなど、日常生活のあらゆる動作で役立ちます。

筋力回復への具体的アプローチ

弱った筋肉を的確に鍛える

筋力測定で明らかになった弱点は、主に2つの部位でした。太ももの前の筋肉と、お尻の横の筋肉です。

太ももの前の筋肉は、しゃがんだり立ったりする動作、階段を上る動作で最も重要な筋肉です。ここが弱いと、床からの立ち上がりが困難になり、階段も辛くなります。

お尻の横の筋肉は、歩くときに最も使う筋肉です。片足で体重を支えるときに、体が左右にぶれないよう安定させる役割を持っています。ここが弱いと、歩くときに疲れやすく、不安定になってしまうのです。

これらの筋肉を効率的に鍛えるため、T様には自宅でできる運動を動画撮影しながら指導しました。横向きに寝て足を真横に持ち上げる運動、うつ伏せで膝を曲げたまま太ももを持ち上げる運動、仰向けでお尻を持ち上げてから片足を伸ばす運動など、複数のメニューを組み合わせています。

1日3回、疲労を感じる程度に

運動の頻度と回数について、T様から質問がありました。「1日何回くらい、どうやってやればいいですか?」

理想は1日3回、朝昼晩に分けて行うことです。ストレッチは何回やっても構いません。むしろ頻繁に行うほど、柔軟性が向上します。

筋力トレーニングの方は、目標としている筋肉が疲れてきて、使ったなという感覚が出るまで続けることが重要です。最初は10回を1セットとして始め、あまり疲れを感じなければもう1セット追加します。

「しっかりやると10回でも結構疲れるはずです」と説明すると、T様は納得した様子でした。筋肉痛になるのは正常な反応ですが、ズキズキするような違和感がある場合は無理をせず、様子を見ながら調整していただくようお願いしました。

すべての運動は動画で撮影し、LINEで送信しました。自宅で見返しながら正確に復習できるため、効果的なトレーニングが継続できます。

目標に向かって歩み始める

ホノルルマラソンという夢

カウンセリングの中で、T様は将来の目標について語ってくれました。「YouTubeでホノルルマラソンを見て、やりたいと思ったんです」

入院中、外出制限があった時期に、よくYouTubeを見ていたそうです。マラソンの動画を見ているうちに、アルゴリズムでマラソン関連の動画ばかりが表示されるようになりました。

ホノルルマラソンには制限時間がありません。どんなにゆっくりでも、途中で歩いても、必ずゴールできます。沿道の人が水やお菓子を配ってくれて、応援してくれる。その光景がとても楽しそうに見えました。

「今年の12月は絶対無理だと思っています。でも来年の4月にハーフマラソンがあるらしいんです。1年頑張って、それに行けたらなと思って」

ハーフマラソンは21.0975km。フルマラソンの半分の距離ですが、それでも運動経験のないT様にとっては大きな挑戦です。しかし目標があることで、リハビリへのモチベーションは大きく高まります。

段階的な目標設定

いきなりマラソンを目指すのではなく、まずは日常生活を快適に送れる体を取り戻すことが第一目標です。床から楽に立ち上がれる。靴を壁なしで履ける。正座ができる。あぐらがかける。

次の段階として、旅行に行けるだけの体力をつけることです。T様は旅行が趣味で、以前はよく出かけていました。しかし今は半日外にいるだけで不安になってしまいます。1月から初回来院まで、1日中外にいたことが一度もなかったそうです。

「旅行先で歩き回ることを想像すると、きつそうで行けないんです」という状態から、まずは半日の外出、1日の外出へと段階的に体力を上げていきます。

そして最終的にマラソンを走れる体づくりです。筋力がつくには2〜3ヶ月かかると言われています。週1回のペースで通院していただき、3ヶ月後、半年後、1年後と段階的に目標をクリアしていく計画を立てました。

不安を希望に変えた初回体験

原因が分かったことの安心感

施術を終えて、T様は笑顔でこう話してくれました。「何が原因か分からなくて、どの部分が悪いかが分からなくて、それが一番嫌だったんです」

検査では異常がないと言われる。でも動けない。この矛盾が大きな不安を生んでいました。しかし筋力測定で数値として現状を把握し、柔軟性の問題も明確になったことで、「なんとなく明らかになって安心しました」とのことでした。

「中の状態は特に悪くなさそうなので、単純に柔軟性とか筋力が落ちちゃっているのがメインです。そこはやっていって上がっていけば大丈夫なはずです」という説明に、T様は大きくうなずいていました。

やれば良くなるという確信

「お話していて、ちゃんと真面目にやったら元気になりそうで、やってみたいなと思ってきました」

初回の体験で、あぐらができるようになり、正座ができるようになり、床までしゃがめるようになりました。この即効性が、「やれば良くなる」という確信を与えたのです。

「今日やっただけでこれだけできるようになるから、これを続けていけば全然まだまだ楽になりますよ」という言葉に、T様の表情が明るくなりました。

回数券は12回コースを選択されました。有効期限は7ヶ月。最初は週1回のペースで通い、体の状態が良くなってきたら徐々に間隔を空けていく計画です。

乳がん術後に多い体の問題

リンパ浮腫のリスク

乳がんの手術では、がん細胞の転移を防ぐためにリンパ節を切除することがあります。T様の場合も、グレード3までリンパ節を郭清しており、主治医からは「リンパ浮腫に気をつけて」と言われていました。

リンパ浮腫とは、リンパ液の流れが悪くなり、腕や手がむくんでしまう症状です。手術した側の腕に起こりやすく、一度発症すると完治が難しいため、予防が非常に重要です。

予防のポイントは、適度な運動で血流とリンパの流れを促進すること。ただし重いものを持つなど、過度な負担は避ける必要があります。また皮膚を傷つけないよう、日常生活でも注意が必要です。

T様の場合、幸いなことに術後の経過は良好で、リンパ浮腫の兆候は見られませんでした。むしろ乳がんの手術による影響よりも、長期入院と抗がん剤治療の副作用による全身の筋力低下の方が深刻な問題となっていました。

肩関節の可動域制限

乳がん手術後、多くの方が経験するのが肩関節の可動域制限です。手術で胸の筋肉や周辺組織を切除するため、肩周りの筋肉が硬くなり、腕が上がりにくくなってしまいます。

T様も最初のチェックでは、腕を真上に上げる動作で150〜160度程度までしか上がりませんでした。理想は180度、体幹とまっすぐ一直線になるまで上がることです。

また手術した右側は、特に脇の下の筋肉が硬くなっていました。ここは手術で最も影響を受ける部位であり、術後しばらくは液が溜まっていたそうです。T様も退院後、2〜3回液を抜きに病院へ通ったとのことでした。

液が溜まると、その部分の組織が硬くなりやすくなります。動かさないでいると、筋肉だけでなく皮膚や周辺組織も固まってしまうため、積極的に動かすことが重要です。

ピリピリする神経症状

T様は腕を動かすと、脇の下がピリピリする感覚があると訴えていました。「主治医の先生からは、しばらく続くからしょうがないと言われています」

これは手術時に神経がダメージを受けたことによる症状です。神経は時間をかけて回復していきますが、完全に元通りになるまでには数ヶ月から1年以上かかることもあります。

ただし硬さで神経を変に圧迫していると、ピリピリ感が長引いたり強くなったりすることがあります。柔軟性を改善し、筋肉や周辺組織の硬さを取り除くことで、神経への圧迫が減り、症状が和らぐ可能性があります。

「より柔らかくなってくると、その辺が減っていくかなと思います」と説明すると、T様は希望を持った様子でした。実際、継続的に運動とストレッチを続けることで、多くの方がピリピリ感の軽減を実感されています。

長期入院がもたらす筋力低下

1日の安静で失われる筋力

医学的には、1日ベッドで安静にしているだけで、筋力は1〜3%低下すると言われています。1週間で約10%、1ヶ月では約30%もの筋力が失われてしまうのです。

T様の場合、通算2ヶ月の入院生活があり、そのうち1週間は絶対安静でした。さらに抗がん剤治療の副作用で体調が悪く、入院中に十分な運動ができない期間が長く続きました。

「入院中は立ったりができなかったんです」とT様。症状が落ち着いてから、ようやく院内をうろうろできるようになったものの、それまでは最低限の動きしかできませんでした。

この期間に失われた筋力は、測定結果にはっきりと表れていました。一般的な基準の3分の1以下、場合によっては10分の1以下という数値は、決して珍しいことではありません。長期入院を経験された方の多くが、同様の問題に直面しています。

体重減少と筋肉量の関係

T様の体重は、入院前の51kgから最低時には46kgまで減少しました。約10%の体重減少です。主治医からは「それ以上落としてはダメ」と強く言われ、無理やり食べるようにしていたそうです。

体重が減ると、脂肪だけでなく筋肉も一緒に減ってしまいます。特に運動ができない状態での体重減少は、筋肉の減少割合が高くなります。

退院後、体重は47〜48kgまで戻りましたが、筋肉量はまだ十分に回復していませんでした。体重が戻っても、その内訳が脂肪と筋肉のどちらなのかが重要です。

筋肉を増やすには、適切な運動と十分な栄養が必要です。特にタンパク質の摂取が重要で、体重1kgあたり1〜1.2gのタンパク質を毎日摂取することが推奨されています。T様の場合、48kgですので、1日48〜58g程度のタンパク質が必要です。

ステロイド筋症の影響

T様はステロイド治療を長期間受けていました。最初は50mgという高用量から始まり、徐々に減量して5月末に終了。しかし「ステロイド筋症みたいな症状が出ていて、それが多分続いている」と話していました。

ステロイド筋症とは、ステロイド薬の副作用で筋肉が弱くなる症状です。特に太ももやお尻など、体を支える大きな筋肉に影響が出やすく、階段の上り下りや立ち座りが困難になります。

幸いなことに、検査では炎症反応は出ておらず、ステロイドの追加治療は必要ないと判断されていました。つまり薬による治療ではなく、運動によるリハビリが最も効果的な対処法だったのです。

「先生もそれかなぁと言われています。薬ももう完全に終わって、とりあえず運動しましょうと」というT様の言葉通り、適切な運動プログラムが回復への鍵となります。

自宅でできるセルフケア

太もも前のストレッチ

正座ができない、しゃがむのが辛いという症状の多くは、太ももの前の筋肉が硬くなっていることが原因です。この筋肉をストレッチすることで、膝の曲がりやすさが大きく改善します。

うつ伏せに寝て、片方の膝を曲げます。その状態で上体を起こし、後ろに体重をかけていくと、太ももの前が伸びる感覚があるはずです。気持ちいいと感じる程度の強さで、20〜30秒キープします。

T様も初回の施術でこのストレッチを体験し、「気持ちいいです」と話していました。硬くなっている筋肉が伸びると、独特の心地よさがあります。

このストレッチは1日に何回行っても構いません。朝起きたとき、仕事の合間、寝る前など、気づいたときに行うことで、柔軟性が徐々に向上していきます。

お尻の筋トレ

お尻の筋肉は、歩く・立つ・階段を上るなど、日常生活のあらゆる動作で使われる重要な筋肉です。ここを鍛えることで、動作が楽になるだけでなく、腰痛の予防にもなります。

最も基本的なのは、仰向けでお尻を持ち上げる運動です。両膝を立てて仰向けに寝て、お尻をゆっくり持ち上げます。肩からお尻、膝が一直線になるまで上げたら、2〜3秒キープして、ゆっくり下ろします。

ポイントは、下から順番に背骨を一つずつ持ち上げていくイメージを持つことです。一気にギュッと上げるのではなく、尾骨、腰椎、胸椎と、下から順に持ち上げていきます。下ろすときは逆に、上から順番に下ろしていきます。

T様は入院中にこの運動を教わっていたそうですが、「このやり方の方が効く感じがします」と、正しいフォームを意識することで効果が高まることを実感されていました。

股関節の柔軟性を高める運動

あぐらがかけない、床に座るのが辛いという場合、股関節の柔軟性が低下している可能性があります。股関節を柔らかくする運動を継続することで、楽に座れるようになります。

仰向けに寝て、両足の裏を合わせます。膝は外側に開いた状態になります。この姿勢のまま、膝をパタパタと上下に動かしたり、ダラーンと力を抜いて重力に任せたりします。

無理に床につけようとする必要はありません。気持ちいいと感じる範囲で、リラックスして行うことが大切です。テレビを見ながら、スマホを見ながらでも構いませんので、1日10分程度この姿勢を保つだけでも効果があります。

T様の場合、初回の施術後にこの運動を行ったところ、「床につきました!」と驚いていました。最初は全くつかなかった膝が、運動後には床に近づいていたのです。継続することで、さらに柔軟性が向上していきます。

運動を継続するためのコツ

目標を明確にする

リハビリや運動を継続する上で最も重要なのは、明確な目標を持つことです。T様の場合、「来年4月のハーフマラソンに出る」という具体的な目標がありました。

目標があることで、今日の運動が何のためなのか、どこに向かっているのかが明確になります。辛いときでも、「あと○ヶ月でマラソンだから頑張ろう」と自分を励ますことができます。

目標は大きなものである必要はありません。「孫と公園で遊べるようになる」「旅行を楽しめるようになる」「階段を楽に上れるようになる」など、自分にとって意味のある目標であれば、どんなものでも構いません。

T様も当初は「ある程度動けるようになったら終わりそう」「やらなくなりそうな気がする」と話していましたが、マラソンという目標を持つことで、「目標があった方が絶対モチベーション上がる」と前向きになられました。

記録をつける

運動の効果を実感するために、記録をつけることをお勧めします。どんな運動を何回やったか、体の調子はどうだったか、痛みや違和感はあったかなど、簡単なメモで構いません。

記録をつけることで、自分の進歩が目に見えるようになります。「1ヶ月前はスクワットが5回しかできなかったのに、今は15回できる」といった変化に気づくことができます。

また体調の変化と運動の関係も分かりやすくなります。「この運動をした翌日は調子がいい」「この運動をやりすぎると痛みが出る」といったパターンが見えてくると、自分に合った運動量を調整できるようになります。

当院では、運動を動画で撮影してお送りしています。定期的に同じ動作を撮影して比較することで、フォームの改善や可動域の変化を客観的に確認できます。

無理をしない、でもサボらない

運動を継続する上で難しいのが、「無理をしない」と「サボらない」のバランスです。無理をしすぎると怪我や体調不良につながりますが、少し辛いからとすぐにサボってしまうと、効果は出ません。

基本的には、筋肉痛は正常な反応です。運動した翌日や翌々日に筋肉が痛くなるのは、筋肉が鍛えられている証拠です。この程度の痛みであれば、軽めの運動は続けて構いません。

ただしズキズキする痛み、関節の痛み、腫れや熱を持つような症状は、炎症や怪我の可能性があります。このような場合は運動を中止し、専門家に相談してください。

T様には「筋肉痛になっちゃって痛いとか、筋肉痛じゃなくてズキズキするような違う痛みだなっていう時は無理しなくていいです」とアドバイスしました。自分の体の声を聞きながら、適切に調整することが大切です。

よくある質問

どのくらいの期間で効果が出ますか

筋力がつくには、一般的に2〜3ヶ月かかると言われています。ただし柔軟性の改善は比較的早く、適切なストレッチを継続すれば、数週間で変化を実感できることが多いです。

T様の場合も、初回の施術で柔軟性の改善を実感されました。あぐらができるようになり、床までしゃがめるようになりました。しかし筋力の回復には時間がかかるため、週1回のペースで3〜6ヶ月の継続をお勧めしました。

効果の出方には個人差があります。年齢、もともとの体力、運動経験、生活習慣などによって変わります。焦らず、自分のペースで継続することが最も重要です。

自宅での運動だけでは改善しませんか

自宅での運動だけでも、ある程度の改善は可能です。しかし専門家のチェックを定期的に受けることで、より効果的に、より安全に改善を進めることができます。

自己流の運動では、フォームが間違っていたり、適切な負荷がかかっていなかったりすることがあります。また体の状態が変化しているのに、同じ運動を続けていても、ある段階で効果が頭打ちになってしまいます。

当院では定期的に筋力測定や動作チェックを行い、現在の状態に合わせて運動メニューを調整していきます。また自宅での運動で分からないことがあれば、LINEでいつでも質問していただけます。

運動中に痛みが出たらどうすればいいですか

運動中に痛みが出た場合、まず運動を中止してください。そして痛みの種類を確認します。

筋肉が疲れて重だるい感じ、ストレッチで筋肉が伸びる感じの痛みは、正常な反応です。この程度であれば、少し休憩してから再開しても構いません。

しかし鋭い痛み、ズキズキする痛み、関節の痛み、しびれなどは、何か問題がある可能性があります。このような場合は無理をせず、LINEで相談していただくか、次回来院時に詳しく状態を確認させていただきます。

T様にも「何か分からないのがあったり、こんな痛みがあるんだけど大丈夫かなとかあったら、遠慮なく連絡してください」とお伝えしました。

リンパ浮腫が心配です

乳がん手術後のリンパ浮腫は、確かに注意が必要な合併症です。しかし適切な運動は、むしろリンパ浮腫の予防に効果的です。

運動によって血流が良くなり、リンパの流れも促進されます。ただし重いものを持つ、長時間同じ姿勢を続けるなど、過度な負担は避ける必要があります。

当院で指導する運動は、リンパ浮腫のリスクを考慮した内容になっています。無理のない範囲で筋肉を動かし、血流とリンパの流れを促進することを目的としています。

もしリンパ浮腫の兆候(腕の腫れ、重だるさ、皮膚の変化など)が見られた場合は、すぐに主治医に相談してください。

週に何回通えばいいですか

理想は週1回のペースです。特に最初の2〜3ヶ月は、週1回の頻度で通っていただくことで、効果的に改善を進めることができます。

週1回通院することで、自宅での運動が正しくできているかチェックし、体の状態に合わせて運動メニューを調整できます。また定期的に筋力測定を行うことで、改善の度合いを数値で確認できます。

体の状態が良くなってきたら、徐々に間隔を空けていきます。週1回から2週に1回、3週に1回、月1回と、段階的に調整していきます。

T様の場合、12回の回数券を購入され、有効期限は7ヶ月です。最初は週1回のペースで通い、3〜4ヶ月後から間隔を空けていく計画を立てました。

まとめ

乳がん術後のリハビリで重要なのは、手術による影響だけでなく、治療全体が体に与えた影響を総合的に評価することです。T様のケースでは、長期入院と抗がん剤治療の副作用による全身の筋力低下が、最も深刻な問題でした。

筋力測定によって現状を数値で把握し、柔軟性の問題を明確にすることで、「何が原因か分からない」という不安が解消されました。そして初回の施術で具体的な改善を実感したことで、「やれば良くなる」という確信を持つことができました。

自宅での運動を継続し、定期的に専門家のチェックを受けることで、着実に改善を進めていくことができます。そして明確な目標を持つことで、リハビリへのモチベーションを維持できます。

「貧弱な体を普通の人っぽくなりたい。元気になりたい」というT様の願いは、決して叶わない夢ではありません。適切なアプローチを継続することで、必ず実現できる目標です。

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初回体験は60分2000円でご利用いただけます。筋力測定や動作分析を行い、現在の状態を詳しく評価させていただきます。

東京都世田谷区玉川4−3−15 サントピア二子玉川第2 101にて、皆様のご来院をお待ちしております。お気軽にお問い合わせください。

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