手術は成功したはずなのに、思うように歩けない。久しぶりに歩くと痛みが出る。左足に体重をかけると不安定で、カクッとなる感覚がある――。
人工股関節の手術を受けてから3年が経過しても、このような悩みを抱えている方は少なくありません。病院でのリハビリは終了したものの、日常生活では車移動が中心で、スーパーに行ってもカートに頼ってしまう。そんな生活が続いていませんか。
今回は、二子玉川のPHYSIOTHに来店されたM様の事例をもとに、人工股関節術後の歩行改善について詳しく解説します。M様は左股関節の人工関節置換術を受けた後、歩行時の不安定さと筋力低下に悩まれていました。しかし、専門的なアプローチによって、その場で変化を実感されました。
この記事では、人工股関節術後に多くの方が抱える課題と、その根本的な解決方法について、実際の施術内容を交えながらお伝えします。
人工股関節術後に残る歩行の悩み
手術後も続く歩きづらさの実態
人工股関節の手術は、変形性股関節症や股関節の痛みを根本的に解決する有効な治療法です。しかし、手術が成功しても、多くの方が術後の歩行に課題を抱えています。
M様の場合、左股関節の人工関節置換術を受けてから3年が経過していました。手術自体は6時間に及ぶ大掛かりなもので、骨の長さを調整するために金具を入れるなど、複雑な処置が行われました。術前は左足が6センチも短かったそうですが、手術によって2センチ程度の差まで改善されました。
しかし、日常生活では依然として困難が続いていました。普段はほとんど車での移動で、歩く機会が少ない生活。たまに歩くと痛みが出てしまうため、ますます歩かなくなるという悪循環に陥っていたのです。
片足立ちができない不安定さ
歩行の基本は、片足で体重を支えることです。歩くという動作は、片足立ちの連続と言えます。しかし、M様は左足での片足立ちが非常に不安定でした。
初回の評価では、右足での片足立ちは比較的安定していましたが、左足では体が大きく傾いてしまい、まっすぐ立つことができませんでした。これは、左足に体重を乗せる感覚が掴めていないことを示しています。
片足立ちができないということは、歩行時にも左足でしっかりと体重を支えられていないということです。その結果、歩くたびにカクッとなる感覚や、不安定さを感じることになります。
筋力低下の深刻さ
人工股関節の手術後、筋力低下は避けられません。特に、股関節周囲の筋肉は大きなダメージを受けます。
M様の筋力測定では、衝撃的な結果が出ました。股関節を横に開く筋肉(中殿筋)の筋力を測定したところ、左足は2.6、右足は4.8という数値でした。通常、この筋力は10以上が望ましいとされています。つまり、M様の左足の筋力は、正常値の4分の1程度しかなかったのです。
「麻痺してるんじゃないかなみたいなぐらい全然力が入らない」というM様の言葉通り、筋肉がほとんど機能していない状態でした。この筋力低下が、歩行時の不安定さや痛みの大きな原因となっていました。
見過ごされがちな側弯との関係
股関節と背骨の意外なつながり
M様は手術の際に、側弯症もあると指摘されていました。ご本人は全く気づいていなかったそうですが、鏡で見ると左右のウエストの位置が明らかに違っていました。
実は、股関節の問題と側弯症には深い関係があります。股関節が悪くなると、痛みをかばうために姿勢が崩れます。その崩れた姿勢が長期間続くと、背骨が曲がってしまうことがあるのです。
M様の場合も、股関節の影響で側弯が生じた可能性が高いと考えられました。なぜなら、寝た状態では骨盤の位置がほぼ左右対称だったからです。重力や体重がかかる立位や座位では骨盤が傾きますが、寝ると傾きが解消される。これは、構造的な問題というより、筋力や柔軟性の問題であることを示しています。
立つと現れる体の歪み
立った状態で背中を確認すると、背骨の曲がりがはっきりと見えました。また、左右の腰の筋肉を触り比べると、左側が明らかに硬くなっていました。
この硬さは、左側の筋肉が常に過剰に働いている証拠です。本来なら股関節周りの筋肉が働くべきところを、腰の筋肉が代償的に頑張ってしまっているのです。その結果、左側の腰は筋肉痛のような痛みを感じることもあったそうです。
足の長さの差も、立つと顕著に現れます。物理的に左足が短い分、左側の骨盤は下がります。すると、それに伴って背骨も曲がらざるを得ません。この連鎖的な歪みが、全身のバランスを崩していたのです。
改善の可能性を示す重要なサイン
しかし、希望もありました。寝た状態では骨盤の位置がほぼ揃っていたこと、これは非常に重要なサインです。
もし側弯が構造的な問題であれば、寝ても骨盤の位置は変わりません。しかし、M様の場合は寝ると揃う。これは、股関節周りの柔軟性を改善し、筋力を強化すれば、立った時の姿勢も改善できる可能性が高いことを意味していました。
実際、足の長さの差も、測定上は2センチ未満でした。一般的に、3センチ以内の差であれば、体の柔軟性や使い方で補うことが可能とされています。M様の場合、適切なアプローチによって、歩行時の左右差をほとんど感じないレベルまで改善できる見込みがありました。
硬くなった股関節を取り戻す
内側に閉じられない股関節
人工股関節の手術後、関節の可動域が制限されることは珍しくありません。M様の場合、特に左股関節を内側に閉じる動きが著しく制限されていました。
仰向けに寝て、膝を立てた状態から足を内側に倒す動作で確認すると、右足は比較的スムーズに倒れるのに対し、左足は途中で止まってしまいました。この硬さが、片足立ちの際に左足の上に体重を乗せられない大きな原因でした。
片足で立つためには、足が内側に入る必要があります。足が内側に入ることで、足の真上に骨盤が来て、その上に上半身が乗る。この積み木のような構造が、安定した片足立ちを可能にします。しかし、股関節が硬くて内側に入らないと、体を傾けるしかなくなるのです。
太ももの外側の異常な硬さ
股関節の外側、太ももの外側の筋肉を触ると、左側は石のように硬くなっていました。M様も「筋肉痛みたい」と表現されていましたが、これは慢性的な緊張状態を示しています。
本来、この筋肉は股関節を安定させるために働きますが、M様の場合は過剰に働きすぎていました。股関節周りの深い筋肉が弱っているため、表層の筋肉が代償的に頑張らざるを得なくなっていたのです。
この硬さは、股関節の可動域をさらに制限します。筋肉が硬いと、関節が動きにくくなる。関節が動かないから、ますます筋肉が硬くなる。この悪循環を断ち切る必要がありました。
関節の動きを引き出す手技
PHYSIOTHでは、関節ファシリテーションという手技を用いて、関節本来の動きを引き出します。これは、関節の構造を理解した上で、適切な方向に適切な力を加えることで、関節の動きを改善する技術です。
M様の左股関節に対しても、この手技を丁寧に行いました。硬くなった筋肉を緩め、関節の動きを一つ一つ確認しながら、可動域を広げていきます。
施術後、再度足を内側に倒す動作を確認すると、明らかに動きが改善していました。M様自身も「全然違う」と驚かれていました。この変化は、関節の動きが改善されれば、体の使い方も変わることを示しています。
弱った筋肉を目覚めさせる
お尻の筋肉の重要性
歩行において、最も重要な筋肉の一つがお尻の筋肉(殿筋群)です。特に、股関節を横に開く中殿筋は、片足立ちの際に骨盤を水平に保つ役割を担っています。
M様の場合、この筋肉が極端に弱っていました。筋力測定の結果が示す通り、左足の中殿筋はほとんど機能していませんでした。右足も弱っていましたが、左足はさらに深刻でした。
お尻の筋肉が弱いと、片足立ちの際に骨盤が傾いてしまいます。すると、体のバランスを取るために、上半身を反対側に傾けなければなりません。これが、M様の歩行時に見られた体の傾きの原因でした。
効果的な筋力トレーニングの方法
筋力を回復させるためには、適切なトレーニングが不可欠です。PHYSIOTHでは、M様に2つの基本的なエクササイズを指導しました。
一つ目は、横向きに寝た状態で、上側の足を持ち上げる運動です。この動作は、中殿筋を効果的に鍛えることができます。M様が実際に行ってみると、左足では足を上げることさえ困難でした。右足では比較的楽にできる動作が、左足では非常にきついのです。
二つ目は、うつ伏せに寝て、膝を曲げた状態で太ももを持ち上げる運動です。これは、お尻の後ろ側の筋肉(大殿筋)を鍛えるエクササイズです。こちらも、左足では持ち上げることがほとんどできませんでした。
ゴムバンドを使った自宅トレーニング
自宅でも継続してトレーニングができるよう、ゴムバンドを使った方法も指導しました。両足首にゴムバンドを巻き、足を横に開く動作を繰り返します。
ゴムの抵抗があることで、より効果的に筋肉を鍛えることができます。また、左右の差も明確に感じられるため、弱い側を意識的に鍛えることができます。
M様には、これらのエクササイズを動画で撮影し、後で送ることをお伝えしました。動画があれば、自宅で正しいフォームを確認しながら、継続してトレーニングができます。筋力の回復には時間がかかりますが、継続することで必ず改善します。
体幹の柔軟性を高める重要性
背中から脇腹にかけての硬さ
股関節だけでなく、体幹部の柔軟性も歩行には重要です。M様の場合、左側の体幹部が全体的に硬くなっていました。
仰向けに寝て、両膝を立てた状態から、膝を左右に倒す動作で確認しました。理想的には、両肩をベッドにつけたまま、膝がベッドにつくまで倒れるべきですが、M様は左右ともに倒しきれませんでした。特に、左側に倒す動作では、硬さがより顕著でした。
この硬さは、背骨の動きを制限します。背骨が硬いと、歩行時の体のねじれがスムーズにできません。その結果、歩き方がぎこちなくなり、余計な力が入ってしまいます。
体を伸ばすストレッチ
体幹の柔軟性を改善するため、立った状態でのストレッチを指導しました。両手を頭上に上げ、片手ずつ、より上に伸ばしていく動作です。
このストレッチのポイントは、手を伸ばす側に体重を移動させることです。左手を伸ばす時は、左足に体重を乗せる。こうすることで、体の側面全体が効果的に伸びます。
M様が実際に行ってみると、右手を伸ばす動作は比較的スムーズにできましたが、左手を伸ばす動作では、体重を左足に乗せることが難しく、うまく伸ばせませんでした。これは、股関節の硬さと筋力の弱さが、体幹の動きにも影響していることを示しています。
腰を横に突き出すストレッチ
さらに効果的なストレッチとして、腰を横に突き出す動作も指導しました。立った状態で、腰を左に突き出しながら、上半身は右に傾ける。こうすることで、左側の体側全体が伸びます。
M様の場合、右側へのストレッチは比較的大きく動けましたが、左側へのストレッチは動きが小さく、硬さが明らかでした。この左右差を埋めることが、歩行の改善につながります。
手首を掴んで引っ張りながら、腰を反対側に突き出す。この動作を繰り返すことで、お尻の横から脇腹、脇にかけての筋肉が効果的に伸びます。毎日続けることで、徐々に柔軟性が向上していきます。
正しい体重の乗せ方を学ぶ
片足立ちの練習が鍵
歩行を改善するための最も重要な練習は、片足立ちです。片足立ちがまっすぐできるようになれば、歩行も自然と改善します。
M様には、鏡の前で片足立ちの練習をしていただきました。最初は手すりを軽く持ち、バランスを取りながら行います。ポイントは、腰から左足の上に体重を移動させることです。
多くの方は、上半身を傾けることで片足立ちをしようとします。しかし、これでは体が傾いてしまい、安定しません。腰から移動させることで、足の真上に体重が乗り、積み木のように安定した姿勢が取れます。
大げさなくらい腰を移動させる
M様に片足立ちをしていただくと、最初は体が右に傾いてしまいました。これは、腰が十分に左に移動していないことを示しています。
「もっと大げさに、腰を左に移動させてください」とアドバイスしました。M様が意識的に腰を左に移動させると、体の傾きが減りました。しかし、手を離すと、まだ右に戻ってしまいます。
「これでもまだ足りないくらいです」とお伝えしました。自分では大げさに動かしているつもりでも、実際にはまだ不十分なのです。これは、長年の癖で、左足に体重を乗せることを避けてきたためです。
歩行時の意識の持ち方
片足立ちの感覚を掴んだら、次は歩行時にその感覚を活かします。歩く時も、左足を地面につく際に、腰から左に移動させることを意識します。
M様に、その意識を持って歩いていただきました。最初は難しそうでしたが、「腰を左に、腰を左に」と声をかけながら歩くと、徐々に体の傾きが減ってきました。
歩きながら調整するのは難しいため、まずは片足立ちの練習を重ねることが大切です。片足立ちがまっすぐできるようになってくれば、歩行も自然と改善していきます。毎日、鏡の前で片足立ちの練習をすることをお勧めしました。
人工関節を長持ちさせるために
緩みのリスクと予防
人工股関節は、適切に使えば何十年も機能します。しかし、使い方が悪いと、緩みが生じることがあります。緩みが進行すると、再手術が必要になることもあります。
M様も、人工関節の緩みについて心配されていました。「姿勢よく歩けた方が、人工関節を長持ちさせられる可能性がありますか」という質問に対し、「可能性としては全然あると思います」とお答えしました。
姿勢が悪いと、人工関節に偏った負担がかかります。その負担が長期間続くと、緩みにつながる可能性があります。逆に、姿勢よく歩けていれば、人工関節への負担は均等に分散され、長持ちする可能性が高まります。
脱臼の予防も重要
M様は、手術後1週間で一度脱臼を経験されていました。その後は脱臼していないものの、深く曲げたり、内股にしたりすることは避けるよう指導されていました。
手術後3年が経過しているため、関節周囲の筋肉は修復されており、脱臼のリスクは低くなっています。しかし、一度脱臼した経験があると、筋肉が緩くなっている可能性があり、注意は必要です。
正座もできるとのことでしたが、無理は禁物です。特に、転倒には十分注意する必要があります。M様も、2日前に尻もちをついて心配されていましたが、歩けているので大丈夫だとお伝えしました。脱臼や骨折があれば、体重をかけられないほど痛くなるはずです。
継続的なケアの必要性
人工関節を長持ちさせるためには、継続的なケアが不可欠です。手術後のリハビリは病院で終了しても、その後のメンテナンスは自分で続ける必要があります。
M様の場合、筋力低下と柔軟性の低下が著しいため、改善には時間がかかります。最低でも3ヶ月程度は、集中的にトレーニングを続ける必要があります。
しかし、継続すれば必ず改善します。筋力がつき、柔軟性が向上し、正しい体の使い方が身につけば、歩行は確実に良くなります。そして、人工関節への負担も減り、長く快適に使い続けることができるのです。
実際の施術で得られた変化
初回施術での驚きの変化
M様の初回施術では、60分という限られた時間の中で、評価と施術、そしてエクササイズ指導を行いました。それでも、明らかな変化が見られました。
施術前は、左股関節を内側に閉じる動作がほとんどできませんでしたが、施術後は明らかに動きが改善しました。M様自身も「全然違う」と驚かれていました。
また、腰を左右にひねる動作も、施術前は左右ともに硬く、膝がベッドにつきませんでしたが、施術後は倒しやすくなりました。特に、左側への動きが改善したことで、体幹の柔軟性が向上したことが確認できました。
歩行の変化を実感
施術後、再度歩行を確認しました。施術前と比べると、左足を地面につく際のカクッとなる感じが軽減していました。完全になくなったわけではありませんが、明らかに改善が見られました。
M様にも、腰を左に移動させることを意識しながら歩いていただきました。最初は難しそうでしたが、何度か往復するうちに、徐々にコツを掴まれてきました。
片足立ちも、施術前は体が大きく傾いていましたが、施術後は傾きが減りました。まだ完璧ではありませんが、わずか60分の施術で、これだけの変化が見られたことは、今後の改善の可能性を示しています。
M様の感想と今後の展望
施術後、M様は「だいぶ直るんですか」と何度も確認されていました。長年の悩みだっただけに、改善への期待と不安が入り混じっているようでした。
「やっていけば全然良くなるはずです」とお伝えしました。ただし、筋力の弱さが著しいため、筋力トレーニングは頑張って続ける必要があります。また、正しい体の使い方を身につけるためには、最低でも3ヶ月程度は継続する必要があります。
M様は、月に1回は東京に来られるとのことでしたので、その機会に定期的に施術を受けていただくことになりました。また、自宅でのエクササイズも、動画を見ながら継続していただくようお願いしました。継続することで、必ず改善していくことをお約束しました。
同じ悩みを持つ方へのアドバイス
病院のリハビリ終了後のケア
人工股関節の手術後、病院でのリハビリは一定期間で終了します。しかし、それで終わりではありません。むしろ、その後のケアが重要です。
病院でのリハビリは、基本的な動作の回復を目指します。しかし、日常生活で快適に動けるレベルまで回復するには、さらなるトレーニングが必要です。特に、筋力の回復には時間がかかります。
病院のリハビリが終了した後も、自分でトレーニングを続けるか、専門的なサポートを受けることが大切です。放置すると、筋力低下や柔軟性の低下が進み、歩行の質が低下してしまいます。
歩かないことの悪循環
痛みがあると、歩くのを避けてしまいます。車での移動が中心になり、ますます歩かなくなる。すると、筋力がさらに低下し、歩くのがさらに困難になる。この悪循環に陥っている方は多いです。
しかし、歩かないことは、人工関節にとっても良くありません。適度な運動は、関節周囲の筋肉を維持し、関節の健康を保つために必要です。
ただし、間違った歩き方で無理に歩くのも問題です。まずは、正しい体の使い方を学び、筋力と柔軟性を改善してから、徐々に歩く量を増やしていくことが大切です。
専門家のサポートを受けるメリット
自己流でのトレーニングには限界があります。特に、人工股関節術後の方は、個別の状態に合わせたアプローチが必要です。
専門家のサポートを受けることで、自分の体の状態を正確に把握できます。M様の場合も、筋力測定によって、具体的な数値で筋力低下の程度が分かりました。この客観的なデータがあることで、改善の目標が明確になります。
また、正しいエクササイズの方法を学ぶことができます。間違ったフォームでトレーニングを続けても、効果は出ません。むしろ、痛みを悪化させることもあります。専門家の指導のもとで、正しい方法を学ぶことが、効率的な改善につながります。
日常生活で気をつけるポイント
座り方の工夫
人工股関節術後の方は、座り方にも注意が必要です。深く座りすぎると、股関節が深く曲がり、脱臼のリスクが高まります。
椅子に座る際は、やや浅めに座り、股関節の角度が90度を超えないようにします。また、低すぎる椅子は避け、立ち上がりやすい高さの椅子を選ぶことが大切です。
長時間同じ姿勢で座り続けることも避けましょう。30分に1回は立ち上がり、軽く体を動かすことで、筋肉の硬さを防ぐことができます。
階段の上り下り
階段の上り下りは、股関節に大きな負担がかかります。特に、下りる際は注意が必要です。
上る際は、良い方の足から上ります。下りる際は、悪い方の足から下ります。「良い足で天国へ、悪い足で地獄へ」と覚えると分かりやすいです。
手すりがあれば、必ず使いましょう。手すりを使うことで、股関節への負担を軽減できます。また、一段ずつ、ゆっくりと上り下りすることが大切です。
転倒予防の重要性
人工股関節術後の方にとって、転倒は大きなリスクです。転倒によって脱臼や骨折が起こる可能性があります。
家の中では、段差をなくし、滑りにくい床材を使うなど、転倒しにくい環境を整えましょう。特に、浴室やトイレは滑りやすいので、手すりを設置することをお勧めします。
外出時も、歩きやすい靴を選び、不安定な場所は避けるようにしましょう。雨の日や暗い場所では、特に注意が必要です。杖を使うことも、転倒予防に有効です。
よくある質問
人工股関節の手術後、どのくらいで普通に歩けるようになりますか
手術後の回復には個人差がありますが、一般的には、手術後3ヶ月程度で日常生活動作が可能になります。しかし、「普通に歩ける」というレベルまで回復するには、さらに時間がかかることが多いです。
M様の場合、手術後3年が経過していましたが、まだ歩行に課題がありました。これは、術後のリハビリが不十分だったり、日常生活で歩く機会が少なかったりすることが原因です。
手術後の回復を早めるためには、病院でのリハビリだけでなく、退院後も継続的にトレーニングを行うことが重要です。また、専門家のサポートを受けることで、より効率的に改善できます。
筋力はどのくらいで回復しますか
筋力の回復には、一般的に3ヶ月程度かかります。ただし、これは継続的にトレーニングを行った場合です。
M様のように、極端に筋力が低下している場合は、さらに時間がかかることもあります。しかし、正しい方法でトレーニングを続けければ、必ず改善します。
筋力トレーニングは、週に3〜4回、継続して行うことが大切です。また、負荷を徐々に増やしていくことで、効果的に筋力を向上させることができます。
人工関節は何年くらい持ちますか
現在の人工股関節は、適切に使えば20〜30年、あるいはそれ以上持つとされています。しかし、使い方が悪いと、緩みが生じて、早期に再手術が必要になることもあります。
人工関節を長持ちさせるためには、適正体重を維持し、適度な運動を続けることが大切です。また、正しい歩き方を身につけることで、人工関節への負担を軽減できます。
定期的に整形外科で検診を受け、人工関節の状態を確認することも重要です。異常を早期に発見することで、適切な対処ができます。
痛みがある時は運動を控えるべきですか
痛みの種類によります。鋭い痛みや、安静時にも続く痛みがある場合は、運動を控え、医師に相談すべきです。
しかし、久しぶりに動いた時の筋肉痛のような痛みや、動き始めの違和感程度であれば、適度な運動は続けた方が良いことが多いです。M様の場合も、たまに歩くと痛いという症状でしたが、これは筋肉の硬さや筋力低下によるものでした。
運動を続けることで、筋肉の柔軟性が向上し、筋力がつけば、痛みは軽減していきます。ただし、無理は禁物です。痛みが強くなる場合は、運動の強度を下げるか、専門家に相談しましょう。
自宅でできるトレーニングはありますか
はい、自宅でできる効果的なトレーニングがあります。M様に指導したエクササイズは、どれも自宅で簡単にできるものです。
横向きに寝て足を上げる運動、うつ伏せで太ももを上げる運動、ゴムバンドを使った足を開く運動。これらを毎日10回ずつ、2〜3セット行うだけでも、効果があります。
また、片足立ちの練習も、自宅で簡単にできます。最初は手すりや壁を持ちながら、徐々に手を離して行います。鏡の前で行うと、姿勢を確認しながらできるので、より効果的です。
側弯症は改善できますか
M様のように、股関節の問題が原因で生じた側弯症であれば、改善の可能性があります。股関節の柔軟性を改善し、筋力をつけ、正しい姿勢を身につけることで、側弯が軽減することがあります。
ただし、構造的な側弯症の場合は、完全に治すことは難しいです。しかし、進行を防ぎ、症状を軽減することは可能です。
M様の場合、寝ると骨盤の位置が揃うことから、機能的な問題である可能性が高いと判断しました。そのため、適切なアプローチによって、改善が期待できます。
どのくらいの頻度で通えば良いですか
改善の初期段階では、週に1回程度の頻度をお勧めします。集中的にアプローチすることで、早期の改善が期待できます。
M様の場合、新潟から月に1回東京に来られるとのことでしたので、その機会に施術を受けていただくことになりました。月に1回の頻度でも、自宅でのエクササイズを継続していただければ、改善は可能です。
ただし、週に1回通える方であれば、より早く改善が見込めます。状態が安定してきたら、2週間に1回、月に1回と、徐々に頻度を減らしていくことができます。
まとめ:歩行改善への道のり
人工股関節の手術は、股関節の痛みを解決する有効な治療法です。しかし、手術が成功しても、その後のケアが不十分だと、M様のように歩行に課題が残ることがあります。
歩行の改善には、3つの要素が重要です。第一に、股関節と体幹の柔軟性を取り戻すこと。第二に、お尻を中心とした筋力を強化すること。第三に、正しい体重の乗せ方を学ぶこと。
これらの要素を総合的に改善していくことで、歩行は確実に良くなります。時間はかかりますが、継続すれば必ず成果が出ます。
また、歩行が改善することで、人工関節への負担も軽減され、長く快適に使い続けることができます。転倒や脱臼のリスクも減り、より安心して日常生活を送ることができるようになります。
M様のように、手術後何年も経過してからでも、改善は可能です。諦めずに、適切なアプローチを続けることが大切です。
PHYSIOTHでは、人工股関節術後の方の歩行改善を専門的にサポートしています。国家資格を持ち、15年の病院勤務で延べ5万人以上を診てきた経験をもとに、一人ひとりの状態に合わせたアプローチを提供します。
歩行の悩みでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。初回体験では、詳しい評価と施術、そして自宅でできるエクササイズの指導を行います。あなたの歩行改善への第一歩を、私たちがサポートします。
東京都世田谷区玉川4-3-15 サントピア二子玉川第2 101のPHYSIOTHで、あなたをお待ちしています。気軽にお問い合わせください。